独立行政法人 労働者健康安全機構広島産業保健
総合支援センター


センター通信

産業保健相談員レター 2025年8月 ~「働く世代からのフレイル予防」 新たな取組み「特定健診+フレイルチェック」について~

2025.10.03

「働く世代からのフレイル予防」

ー新たな取組み「特定健診+フレイルチェック」について―

         産業保健相談員 木村 要子

 

人生100年時代を迎え、願わくばいつまでも元気に活動し、家族や友人、地域の人たちとつながり、社会参加しながら毎日を送る、そんな高齢期を送りたいと思う方は多いはずです。そのためには、「フレイル(虚弱)」の予防・対策が重要なカギとなるため、現在、国をあげてフレイル対策に取り組んでいます。産業界でも高齢者の雇用は年々増加し、65~69歳の就業率が2021年に50.3%と初めて50%を超え、75歳以上も10%を越えています。(総務省労働力調査)

これらの状況を受けて、新たに働く世代を対象に、自治体で取り組まれている興味深いプログラムを紹介します。大阪府内で実施されている「働く世代からのフレイル予防プログラム」です。

事前に40歳以上の中高齢者を対象に調査を実施したところ、40歳代や50歳代であっても一定数のフレイル該当者がいることが明らかになり、より早期の働く世代から(高齢になる前から)のフレイル予防の取組が必要であることが示唆されました。そこで40歳以上の特定健診の対象となる年齢層に対して、特定健診会場、健康祭り等でフレイルチェックを実施することにより、フレイルに対する認知度の向上やフレイルとなる者を早期発見し、該当者に対しての早期介入(運動や食事といった健康づくりの取組みを促す)を通じて、働く世代からのフレイル予防を進めるというものです。府内市町村の特定健診や健康教室、そして健康まつりなどの既存の事業をはじめ、事業所でのイベントを活用したフレイルチェックや、大阪府薬剤師会と連携した健康サポート薬局等で取組を実施しています。

 チェック内容は➀特定健診の調査内容に➁フレイルチェック内容を加えたものです。(下記参照)この取組みの成果が待ち望まれます。

※➀➁の具体的内容

➀質問票(服薬歴、喫煙歴等)、身体測定(身長、体重、BMI、腹囲)、理学的検査(身体診察)、血圧測定、血液検査(脂質・血糖、肝機能)、検尿など

➁問診(食事、運動等)、身体測定(体組成測定、骨格筋量)、特定健診における身体測定(体重)をフレイルチェックの身体測定に代替