独立行政法人 労働者健康安全機構広島産業保健
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センター通信

産業保健相談員レター 2026年4月 ~医療機関と産業保健総合支援センターが連携した両立支援~

2026.04.10

医療機関と産業保健総合支援センターが連携した両立支援

産業保健相談員(作業療法士):塩田繁人

 

 令和8年度の診療報酬改定において、「療養・就労両立支援指導料」が見直され、疾患を問わず医療機関と事業所が連携して、労働者・患者の働くことを支える取り組みがこれまで以上に重要視されるようになりました。

 私が勤務する医療機関でも、これまで高次脳機能障害や心疾患のある方に対して、産業医や就労移行支援事業所と連携した支援を行ってきました。ただ、その多くは経験のある担当者が個別に対応している状況であり、組織としての体制づくりには課題を感じていました。

 こうした背景から、現在は広島産業保健総合支援センター(以下,産保センター)産業保健専門職と連携し、作業療法士が中心となって両立支援の体制整備に取り組んでいます。例えば、職場の上司との関係に不安を抱える慢性疼痛の方への相談支援や、復職に迷いを感じている高次脳機能障害の方への情報提供など、産業保健の視点からの支援やフォローアップをいただいています。医療機関だけでは対応が難しい部分を補っていただけることは、現場として非常に心強く感じています。

 また2024年からは、広島大学病院痛みセンターにおいて、精神科医、作業療法士、公認心理師、産業保健師が協働し、慢性疼痛を抱える方を対象とした就労支援プログラムを開始しました。本プログラムは、生物・心理・社会モデルに基づき、週1回・全8回で構成されています。内容は、痛みを悪化させにくい動作や環境の調整、運動やリラクセーション、認知行動療法、さらには復職面談のロールプレイまで幅広く含まれており、個別性に対応できるように少人数で行っています。

 これまでに2クール開催し4名の方が参加されました。現在3クール目で3名の方が参加しておられます。本プログラムは無理なく継続できる内容であることが確認されています。また、生活機能や自己効力感の改善がみられ、それに伴い痛みの軽減につながるという結果も得られています。

 慢性疼痛を抱えながら働く方のプレゼンティズムは、世界的にも大きな課題とされています。医療と産業保健が連携して「働くこと」を社会の中で支える取り組みは、今後さらに重要になっていきます。
 本プログラムにご関心のある方は、広島産業保健総合支援センターまで、お気軽にご相談ください。