独立行政法人 労働者健康安全機構広島産業保健
総合支援センター


センター通信

産業保健相談員レター2022年5月

2022.05.02

事務所衛生基準規則及び安全衛生規則の改正 産業保健相談員 井上 一弘

 

1 はじめに
  令和3年12月1日に「事務所衛生基準規則及び安全衛生規則」が公布され、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。
  これは、多機能トイレの普及など社会情勢の変化に合わせ、作業場における清潔の保持、休養のための措置、良質な作業環境の確保を図るものです。
  主な改正内容は次のとおりです。
2 作業面の照度(令和4年12月1日施行)
  現在の知見に基づいて、事務所の事務作業の区分を3区分から2区分とし、(1)一般的な事務作業(300ルクス以上)、(2)付随的な事務作業(150ルクス以上)として引き上げました。
  また、個々の事務作業に応じた適切な照度として、作業ごとにjisz9110の基準を参照することとされました。
3 便所の設備(令和3年12月1日施行)
  便所を男性用と女性用に区分して設置するという原則は維持されるものの、新たに多機能トイレのような「独立個室型の便所(男性用と女性用を区分しない四方を
 壁等に囲まれた便所)」を設置する場合(常時使用する労働者が10人以内)は、「独立個室型の便所」のみで足りることとなりました。また、男性用及び女性用の
 便所の設置基準に一定数反映させることになりました。
4 その他
  (1)シャワー設備等を設ける場合は、安全に利用できるようプライバシーに配慮する。
  (2)休憩の設備は、広さや設備を検討することが望ましい。
  (3)休養室・休養所は、随時利用が可能となるよう機能を確保するとともに、入り口・通路からの目隠し、出入り制限等プライバシーと安全性に配慮する。
  (4)事務所の作業環境測定
   一酸化炭素、二酸化炭素濃度の測定器は、検知管に限らず同等以上の能力の電子機器等も可能とする。
  (5)救急用具の内容
   作業場に備えるべき救急用具・材料について、具体的な品目の規定が削除された。
  このような改正となっています。
5 まとめ
  今般の「事務所衛生基準規則及び安全衛生規則」の改正は、社会情勢の変化に合わせて、すべての働く人々の視野に対応し、働く人々に、より快適な職場環境を提供できるよう行われたものです。
  関係通達も含めた詳細については、厚生労働省のホームページをご確認下さい。
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207439_00007.html