センター通信
産業保健相談員レター 2025年4月 ~【行動の活性化】 楽しい気分になれるような活動を増やしましょう!~
2025.04.30
産業保健相談員 加登朝子
今現在、本当にしたいこと(食事会、カラオケ、スポーツ等)はできていますか?
何も活動しないと、とんどん気が滅入ってしまいます。
実は、私たちは何も活動しないと、どんどん心の元気がなくなってしまうのです。
心の元気を保つためには、何もしたくなくても、今できる範囲で楽しさや達成感が感じられる活動を増やすことが大切です。
皆さんは、気持ちと行動ではどちらが先でしょうか?
比較してみると、どちらもありそうですね。ただ、気持ちと行動で私たちが変えやすいのは「行動」と言われています。
「行動が先で、気持ちが後」の場合のように、行動を少し変えてみることで、気持ちの変化をもたらすことができるのです。
行動の活性化「行動 ⇒ 気持ち」の流れを利用して、いい気持ちで過ごせる時間を増やす方法をご紹介します。
事例1 【元気のでない山田さん】
転勤のために環境が大きく変わり、好きなことができなくなってしまった山田さん。 山田さんは、仕事終わりや休日にはジムで運動をしたり、同僚と食事に行ったりして過ごしていました。しかし、1月から転勤になり、日々の業務に追われ、好きだった活動のほとんどはできなくなり、家に居てもなんとなくテレビを見たりして過ごすものの、気分は晴れません。自分なりに何か楽しめることを考えようとしてはみるものの、どれも以前の活動に比べるとつまらなく思えて活動する気になれず、うつうつとした気分になってしまいます。休日も仕事のことが気がかりで、不安になってしまう山田さんです。
このように、人は悩みやストレスを抱えていると、行動の幅が狭くなってしまいがちで、その結果、心の元気がどんどん下がってしまうものなのです。
事例2 【楽しめている高橋さん】
高橋さんは平日に仕事がとても忙しく、休日は家で過ごすような生活をしていました。しかし、今は以前よりも業務がスムーズに進み、家で過す時間が増えました。これまではほとんどが仕事に時間を費やしていたので、家にいる時間を持て余してしまい、憂鬱な毎日を過ごしていました。「せっかく自由に使える時間が増えたのだから、今までできなかった事をやってみよう」と考え、英会話教室に思い切って通い始めたら、一緒に学ぶ人と話すことで気持ちが晴れることに気づき、高橋さんなりに活動を楽しんで生活できるようになりました。そして、「次はあれをやってみよう」と前向きな気持ちで過すことができるようになりました。
2人の違いは?ストレスから憂鬱な日々を過している山田さん、高橋さんですが、それなりに何とか今の生活の中から楽しみを見つけることができた高橋さんと、山田さんの違いは何でしょうか?
二人の最も大きな違いは、「楽しさや達成感につながる活動ができているかどうか」です。「高橋さんは、たまたま楽しめることがあったから」と思われるかもしれませんが、心の元気を保つためには「楽しさや達成感につながる活動をする」ことがとても大切なのです。
(参考サイト 『いまここケア』 東京大学大学院医学系研究科精神保健学)